
奈良井宿だけじゃない!贄川〜藪原、木曽路の奥深さを知る中山道ウォーク
贄川宿から藪原宿へ!木曽路を歩く中山道散策ガイド
木曽路の中でも特に風情ある区間、贄川宿から藪原宿。中山道の歴史と文化、そして豊かな自然を満喫できる散策コースをご紹介します。
JR駅を活用して自由にコースをカスタマイズ!
この散策コースの魅力は、JR中央本線の駅が贄川、木曽平沢、奈良井、藪原と道中に点在していることです。これにより、体力や時間に合わせて自由にコースを短縮したり、気になるスポットでじっくり過ごしたりと、自分だけの旅を組み立てられます。
例えば、
- 「じっくり奈良井宿を楽しみたい!」 なら、贄川駅で降りて奈良井駅まで歩き、奈良井宿を重点的に散策。
- 「木曽漆器に興味がある!」 なら、木曽平沢駅で途中下車して漆器の町を散策し、そこから奈良井宿へ向かう。
- 「鳥居峠は外せないけれど、体力に自信がない」 なら、奈良井駅から歩いて鳥居峠を越え、藪原駅でゴールするなど、柔軟な計画が立てられます。
【コース概要】
贄川宿 → 贄川関所 → 県天然記念物贄川のトチ巨木 → 深澤家住宅 → 片平橋(土木遺産) → 木曽平沢(漆工街|重要伝統的建造物群保存地区) → 奈良井川 → 奈良井宿(重要伝統的建造物群保存地区、五ヶ寺、木曽の大橋、中山道杉並木・二百地蔵、鎮神社) → 鳥居峠(中央分水嶺) → 藪原宿(お六櫛)
【所要時間】 約6~8時間(休憩・食事時間、見学時間によって変動します)
各所の見どころと道案内
贄川宿(にえかわじゅく)
木曽路の北の玄関口。静かで落ち着いた宿場町です。
- 贄川関所跡: 宿場の南端に位置し、江戸時代の関所の面影を残しています。資料館も併設されており、当時の様子を知ることができます。
- 県天然記念物贄川のトチ巨木: 関所を過ぎて少し歩くと、樹齢数百年の巨大なトチノキがそびえ立っています。その迫力に圧倒されます。(国道19号西側渡りに注意)
- 深澤家住宅: 街道沿いに残る歴史ある民家。
木曽平沢(きそひらさわ)へ(贄川宿から徒歩約1時間~1時間30分)
贄川宿から中山道を南へ進みます。途中、豊かな自然が広がり、のどかな風景が楽しめます。閑散とした街並みも良いものです。
- 片平橋: 贄川宿と木曽平沢の間に架かる橋。周辺は美しい渓谷で、奈良井川の清流を眺めることができます。奈良井川を渡河しているRC開腹アーチ(リブ+柱)橋であり、現在は廃道になっているが、橋体が非常に美しいアーチ形状である。
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木曽平沢: 「木曽漆器」 の里として知られ、多くの漆器店が軒を連ねています。
- 木曽漆器: 国の伝統的工芸品に指定されており、美しい漆器の数々を見たり、購入したりできます。お店によっては漆塗りの体験ができるところもあります。(漆工街|重要伝統的建造物群保存地区)
- 漆郷諏訪神社: 漆器の繁栄を願って建てられた神社。
- 木曽くらしの工芸館:道の駅併設、木曽漆器などの伝統工芸品や、ワイン・日本酒などの特産品を揃えています。
- 木曽漆器会館:木曽漆器の産地ならではの博物館。有形民俗文化財木曽漆器の製作工程はじめ、作品や資料を展示しています。
奈良井宿(ならいじゅく)へ(木曽平沢から徒歩約30分~40分)
木曽平沢からさらに南へ歩くと、いよいよ中山道最大の宿場町、奈良井宿に到着します。
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奈良井宿: 国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、「奈良井千軒」と称されるほど栄えました。見事な町並みは、まるで江戸時代にタイムスリップしたようです。
- 五ヶ寺: 宿場の両端に位置する五つのお寺。それぞれ趣があり、散策の途中に立ち寄るのも良いでしょう。
- 木曽の大橋: 総檜造りの太鼓橋で、奈良井宿のシンボル的存在です。
- 中山道杉並木・二百地蔵: 宿場の南端に位置し、歴史を感じさせる杉並木が続きます。道沿いには二百体のお地蔵様が並んでいます。
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鎮神社: 奈良井宿の鎮守様。争いを鎮め、病を鎮め、災厄を鎮める、万象鎮めの神
【奈良井宿での休憩・食事】 奈良井宿には、多くの食事処や喫茶店があります。
- 五平餅: 木曽地方の郷土料理。香ばしい味噌だれが食欲をそそります。
- 蕎麦: 信州蕎麦は絶品です。
- カフェ: 古民家を改装したおしゃれなカフェも多数あります。
鳥居峠(とりいとうげ)へ(奈良井宿から徒歩約1時間~1時間30分)
奈良井宿の南端からいよいよ鳥居峠への上り坂が始まります。ここからは本格的な山道になりますので、歩きやすい靴と服装で挑みましょう。中央分水嶺であり、信濃川と木曽川の源流でもあります。(天候の急変があります。雷やクマに注意)
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鳥居峠: 標高1,197mの峠。木曽と松本を結ぶ要衝であり、かつては中山道の難所として知られました。
- 道案内: 奈良井宿の南端、二百地蔵を過ぎると本格的な上り坂になります。道標がしっかり整備されていますので、それに従って進みましょう。途中、熊よけの鐘もあります。
- 景観: 峠からは木曽の山々の雄大な景色を望むことができます。特に紅葉の時期は絶景です。
- トチノキ群:トチノキの大木があり、木祖村内唯一の群生地である。区域内には小径木もかなりある。推定樹齢70年~490年。
【鳥居峠での休憩】 峠には小さな休憩所があります。飲み物や軽食を持参することをおすすめします。
藪原宿(やぶはらじゅく)へ(鳥居峠から徒歩約40分~1時間)
鳥居峠を越えると、藪原宿への下り坂になります。木曽川源流の里
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藪原宿: 木曽路の中央に位置する宿場町。かつては木曽路十一宿の真ん中にあたり、お茶屋などが軒を連ねていました。
- お六櫛: 藪原宿は「お六櫛」の産地として有名です。旅の記念にお土産にいかがでしょうか。
【藪原宿での休憩・食事】 藪原宿にも食事処や喫茶店があります。
四季折々の変化
- 春: 宿場町が美しく、新緑が芽吹き始めます。深緑の針葉樹(ヒノキ・サワラ)薄緑の広葉樹など山並みのグラデーションが綺麗です。
- 夏: 奈良井川の清流が涼しげで、深緑の山々が心を癒します。
- 秋: 街道沿いの木々が紅葉し、特に鳥居峠からの眺めは息をのむ美しさです。
- 冬: 雪景色の中の宿場町は、静かで幻想的な雰囲気に包まれます。ただし、積雪時には通行が困難な場所もありますので、事前の情報収集が必要です。
その他
- 交通手段: 贄川、木曽平沢、奈良井、藪原にはそれぞれJR中央本線の駅があり、各宿場へのアクセスや途中でのコース変更に便利です。
- 服装・持ち物: 天候の変化に対応できるよう、重ね着できる服装がおすすめです。歩きやすい靴、雨具、飲み物、軽食、地図、熊よけの鈴(鳥居峠越え)などを持参しましょう。
- 情報収集: 事前に観光協会のウェブサイトなどで最新の情報を確認することをおすすめします。
- 道の駅:木曽ならかわ・木曾くらしの工芸館(木曽平沢)|木曽の大橋(奈良井)|木曽川源流の里きそむら(藪原)
このコースは、中山道の歴史と豊かな自然を存分に味わえる素晴らしい散策コースです。ぜひ、ご自身のペースで木曽路の風情に触れる旅を楽しんでくださいね!


土木遺産 片平橋