漆 Micro Lab|木曽漆器と現代塗装のマイクロな素顔

「本漆塗りは見える光が温かく、合成樹脂は冷たい」――。

木曽漆器の魅力と向き合う中で芽生えた探求心から立ち上げた「漆Micro Lab(うるしマイクロラボ)」。

肉眼では同じように美しい赤や黒の器に見えても、素材の裏側にはどんな違いがあるのでしょうか?
この「漆Micro Lab」では、4種類のテーブルウェア素材(木曽堆朱漆塗り、朱漆塗り、ウレタン塗装+UV印刷、ウレタン塗装)を、肉眼、相棒の実体顕微鏡たち+iPhone17、ブラックライト256nm(UV照射)という多角的なレンズを通して徹底比較。
数百年の歴史を持つ伝統工芸の奥深さと、現代の工業技術が生み出す機能美の真実に迫ります

検証した4つの素材

1,木曽堆朱漆塗り(何重もの漆の層と研ぎ出しによる複雑な模様)

2,ウレタン塗装 + UV印刷(最新のUV硬化技術を用いたデザイン皿)

3,朱漆塗り(伝統的な朱色の器)

4,ウレタン塗装(現代の化学樹脂による無地・シンプルな器)


木曽堆朱漆塗り

木曽堆朱漆塗り

ウレタン塗装+UV印刷

ウレタン+UV

朱漆塗り

朱漆塗り

ウレタン塗装

ウレタン塗装


検証①:256nmブラックライト照射テスト

暗がりで短波長のブラックライトを当てると、素材ごとに光の返り方が異なります。

◎ 1,3堆朱・朱塗り(天然漆系):強い蛍光で一様に光るのではなく、漆特有の落ち着いた質感や、層の隙間が独特の陰影として浮かび上がります。

● 2,ウレタン+UV印刷:印刷されたモチーフ部分が鮮明な黄緑〜緑白色の蛍光を放ち、デザインの輪郭がくっきりと浮き出ます。

● 4,ウレタン塗装:照射面周辺が青白く均一に反射・発光し、合成樹脂特有の均質な質感が現れます。


木曽堆朱漆塗り

木曽堆朱漆塗り

ウレタン塗装+UV印刷

ウレタン+UV

朱漆塗り

朱漆塗り

ウレタン塗装

ウレタン塗装

【検証②:実体顕微鏡(Nikon SMZ)によるマイクロの世界】

蔵出殿かく丸漆器問屋のLab環境(顕微鏡セット)を駆使し、さらにミクロの構造に迫ります。

1. 木曽堆朱漆塗り

・電灯下:幾何学アートのように複雑にうねる漆の層や研ぎ出しの段面が重なっています。

・ブラックライト下:層の境界や微細な凹凸が光の吸収・反射グラデーションとなり、有機的な美しさが際立ちます。

2. ウレタン塗装 + UV印刷

・電灯下:平滑な面とシャープな印刷の境界が見て取れます。

・ブラックライト下:特定部分だけが強く蛍光を発し、最新のUV硬化技術の特性がハッキリと分かります。

3. 朱漆塗り

・電灯下:落ち着いた朱色のなかに、細かなキズや微細な凹凸が確認できます。

・ブラックライト下:光をしっかり吸収し、ほとんど発光せずにマットに沈みます。

4. ウレタン塗装

・電灯下:細かいスリキズや平滑な面が均一に広がっています。

・ブラックライト下:全体が青みがかったモヤ状の蛍光に包まれ、堆朱のような「層」の複雑さがない均質な樹脂であることが一目で分かります。


木曽堆朱漆塗り

木曽の伝統技法が生み出す、幾重にも塗り重ねられた漆の層と立体的な彫り。肉眼では味わい深い深い朱のグラデーションを感じられますが、顕微鏡(電灯下)で覗くと、職人の彫りの跡や漆の奥深い層構造がくっきりと浮かび上がります。さらに256nmのブラックライト(UV)を照射すると、天然の漆ならではの光の吸収と独特の質感が現れ、現代の化学塗料とはまったく異なる表情を見せてくれます。

元素材(肉眼)

① 元素材(肉眼)

実体顕微鏡(電灯下)

② 顕微鏡(電灯下)

実体顕微鏡(UV照射)

③ 顕微鏡(UV照射)

ウレタン塗装 + UV印刷

現代のデジタルプリント技術とウレタン塗装を組み合わせた先進的なアプローチ。肉眼では鮮やかなデザインや滑らかな質感を正確に再現していますが、実体顕微鏡(電灯下)で拡大すると、インクの微細なドットの重なりや均一な塗膜面という工業製品ならではの整った美しさが確認できます。さらにブラックライト(UV)を照射すると、インク部分が強く反応して鮮烈に発光するため、天然素材とは一線を画すミクロの構造がハッキリと浮かび上がります。

ウレタン塗装+UV印刷(肉眼)

① 元素材(肉眼)

ウレタン塗装+UV印刷(顕微鏡・電灯下)

② 顕微鏡(電灯下)

ウレタン塗装+UV印刷(顕微鏡・UV照射)

③ 顕微鏡(UV照射)

朱漆塗り

何百年もの歴史を受け継ぐ職人が、丹念に塗り上げ仕上げた伝統的な朱漆の世界。肉眼では温かみのある鮮やかな朱色と吸い付くような手触りを楽しめますが、実体顕微鏡(電灯下)で覗くと、刷毛目の跡すら残さない驚くほど緻密で滑らかな塗面が広がっています。さらにブラックライト(UV)を照射すると、天然漆特有の成分が光を深く吸収して漆黒のように沈み込み、化学塗料とは異なる物質のありようが浮き彫りに。世代を超えて受け継がれてきた技の真髄をミクロの視点から体感できます。

朱漆塗り(肉眼)

① 元素材(肉眼)

朱漆塗り(顕微鏡・電灯下)

② 顕微鏡(電灯下)

朱漆塗り(顕微鏡・UV照射)

③ 顕微鏡(UV照射)

ウレタン塗装

現代の暮らしに広く馴染む、実用性と美しさを兼ね備えた標準的なウレタン塗装の世界。肉眼では均一で滑らかな艶感を楽しめますが、実体顕微鏡(電灯下)で拡大すると、工業製品ならではのムラのない整った塗膜のフラットさが確認できます。さらにブラックライト(UV)を照射すると、化学樹脂の成分が反応して独特の反射や発光を見せ、伝統的な漆やUVプリントとはまた異なる、モダンなケミカル素材としての素顔がミクロの視点からクリアに浮かび上がります。

ウレタン塗装(肉眼)

① 元素材(肉眼)

ウレタン塗装(顕微鏡・電灯下)

② 顕微鏡(電灯下)

ウレタン塗装(顕微鏡・UV照射)

③ 顕微鏡(UV照射)

肉眼とミクロが語る、それぞれのストーリー

肉眼で感じる美しさの裏側に、どのような素材と手仕事、そして科学的な表情が隠されているのか。実体顕微鏡とブラックライトという少し変わったレンズを通して覗いてみると、「本漆塗りは見える光が温かく、合成樹脂は冷たい」という、素材が持つ決定的な違いが浮かび上がってきます。

数百年の歴史を持つ伝統の漆が持つ奥深さや、現代の技術が生み出す機能美の答え。日々の暮らしの中で手にする器を、少し違う角度から楽しむきっかけになれば幸いです。


漆MicroLab 顕微鏡で見る漆

漆 micro lab:左からオリンパスTOKYO GK型|ニコンSMZ|カートンDSZ44


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